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特集 20の特徴 事業内容 鹿島建物について
特集

vol.8

人・建物・文化財を守る環境管理 エコロジーと文化財保護の両立への挑戦 九州国立博物館
Contets 100年越しの夢の実現
エコロジーな博物館の先駆者として
  ■国宝を守るという使命
建物概要


3.国宝を守るという使命

□24時間365日、博物館を守る3000ヶ所のセンサー
通常のオフィスビルにおいて、設備の監視を行うポイントは15ヶ所程度ですが、九州国立博物館ではなんと3000ヶ所を超えます。監視モニターは3000行分のエクセル画面とでもいうのでしょうか。ずらりと監視ポイントの室温や機器の運転状況などが表示され、少しでも異常が発生すると赤字に変わります。これらの監視ポイントの状況はインターネット回線を利用し、東京・港区の「鹿島建物コールセンター」へ送られます。1000km以上はなれた東京でも警報監視だけでなく、機器の発停、スケジュールの変更、アナログ・積算・デジタルデータの蓄積まで、九州国立博物館と同等の監視状態を実現し、互いにバックアップ体制を築いています。
 
□空気中の汚染物質から文化財をまもる
長い年月を経た仏像や古文書、絵巻物などの収蔵品の最大の敵は湿度とさまざまな有害ガスです。そのため、外気は全て空調機のフィルターを通して取り込まれています。「ケミカルフィルター」と呼ばれるこのフィルターは、酸・アルカリなどの有害物質を吸着する機能を持っています。さらに、水を空気に噴射し、粉塵を捕まえるエアーワッシャーによって外気に含まれる粉塵などが取り除かれ、空気中の汚染因子の除去が行われます。
 
□細心の注意を払う
文化財が保管されている収蔵庫では、カビや虫が発生するのを防ぐため、素手で壁をさわって手の汗や油が付着しないようにするのはもちろんのこと、一見なにげないように思われる床にものを置くという行為も空気の停滞を招くことから禁止されています。また、一度に大勢の人間の入ると、急激な温湿度の変化や、人にともなう空気の汚れが発生するため、人間の出入りも制限されています。これらの厳しい条件をクリアするため、消火設備の点検1つをとっても事前に担当者による綿密な打ち合わせを行い、細心の注意を払って実施しなければなりません。

さらに、収蔵庫にも増して厳密な管理を求められているのが陳列ケースです。収蔵品を安定した空気の中で保存する必要があるため、湿度の急激な変化をおさえ、汚れた空気を入れないために、機密性の高いケースを用意し、調湿剤を入れて湿度の安定を図っています。特に、展示室内の空気は閲覧者から出るガスによって汚染されているため、陳列物の入れ替えの際は、展示室の空調機で空気を中和した後にケースを開けます。
 
□±2℃の戦い
通常のオフィスビルにおける居室の温度の設定範囲は±5℃ですが、九州国立博物館の収蔵庫においては±2℃という非常に厳しい制限が設けられています。数100年保管されていた場所から温度・湿度はもちろんのこと、気圧も違う九州まではるばる運ばれてきた文化財にとって、小さな環境の変化も大きなダメージにつながります。そのため、収蔵庫内では、文化財がもともとあった場所の環境を再現することが求められます。場合によっては空調機そのものの適性も考えなければなりません。

さらに、管理する側が何よりも気を使うのは、文化財はものを言わないということです。人であれば、「暑い」「寒い」といった要望を伝えることができますが、今の温度は文化財にとって本当に快適な環境なのか、湿度の調節が適切なのかどうかの判断が非常に難しいのです。どこかに空気の淀みが発生して、カビが発生しているかもしれない。数100年という時を経てきたもの言わぬ文化財が相手であるからこその苦労がここにあります。
 
□BEMSを活用した鹿島建物のデータ分析力
鹿島建物では博物館特有のきめ細かい要求を実現するため、BEMSと呼ばれる管理システムを活用しています。1年半の「枯らし」期間を通じ、日々蓄積された管理データの解析を行ってきましたが、オープン後がいよいよ本番です。外気温や、室温、そしてセンサーで感知される館内の人数などのデータをもとに、より実際に即した制御プラグラムへの改善、および省エネの提案をおこなっていきます。
 
□設計理念の実現のために
建物にとって設計意図が反映されない、あるいは現場の実情にそぐわない管理が行われることほど不幸なことはありません。設計ポリシーにもとづいた管理を行っていても、当初の想定とは異なる状況が発生することもあります。九州国立博物館でも管理スタート時には、空気・湿度管理の警報が鳴りっぱなしだったことがありました。鹿島建物では、定期的に設計者との意見交換を行い、設計思想を最大限に尊重した建物管理を実現。文化財の保存と地球環境への配慮の両立という挑戦の一翼を担っています。





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